年越し屋久島縦走の記録2

(続き)

 

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2日目。3時に小屋を出る。星の数がものすごい。濃いという形容詞が一番ぴったりくる星空だ。頭上の視界が開ける度に立ち止まり、空を見上げた。ただ、止まっていると暗闇と孤独の実感が身に迫ってくるのであまり長くはいられない。

 

花之江河、黒味分岐を通過し、投石平のあたりで東の空に太陽の気配を感じ始める。この時点では、宮之浦岳の山頂で初日の出を拝むつもりでいる。コースタイムを考えるとかなり時間が押しているのだが、徐々に周りの景色があらわとなり、立ち止まっては周囲を見渡す頻度が高くなってしまう。太陽の反対側の空はパステルカラーに色付き、なぜか来迎図を彷彿とさせた。

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阿弥陀如来が出現しそうな構図

だらだら歩いたせいで、山頂からのご来光には間に合わなかった。宮之浦の登りに差し掛かったところで、後ろから太陽が現れた。

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2022年初太陽

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宮之浦岳山頂。屋久島最高峰かつ九州で一番高いところ。標高の語呂合わせは、いくとさむい。

山頂には先客の2人組がおられた。貸し切りの山頂を期待して、二人が出発するのをさりげなく待ったが、結局寒さに負けた自分が先に山頂を後にした。

次の目的地である永田岳を目指す。

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永田岳 遠景

永田岳への道はまだ人間の足跡がついていなかった。まっさらな雪に新たな足跡をつける。めちゃくちゃ楽しい。巨大な岩が無数に露出している山容は遠くから見てもかっこいいが、近づいてもなおかっこいい。

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山頂までは中々に遠かった。たびたび雪を踏み抜く箇所があり、荷物を下ろして身軽になっているとはいえ疲れた。絶好の快晴で雪がどんどん解けていく。

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多分、今年一番乗り

山頂からの展望は当然素晴らしい。山頂を満喫し終え、下ろうとしたところで、バスメンバ―だったおにいさんと再会した。黒味岳で日の出を見てきたらしい。自分もそうすればよかった。

再び焼野の分岐まで戻りザックを回収し、新高塚小屋へ向かう。

屋久島は水が豊富で、登山ルート上いたるところに水が流れている。水場も多いので、持ち歩く水を少なくできるのは大きなメリットだ。一方で濡れた岩が凍ってつるっつるになってる箇所があり、それがロープ備え付けの大きいものだと、アイゼンなしでは通行が難しい。今回は、初の冬テント装備で荷物の重さにビビってしまい、軽アイゼンしか持参しなかったが、前爪のあるまともなアイゼンを持ってくればよかったと少し後悔した。

この日、新高塚小屋の利用者は2人だった。